リピート客・リピーターを増やす方法|最初にやるべきこととは

この記事では、

  • リピーターを増やしたい
  • 利益を増やしたい
  • ビジネスを安定させ、成長させたいけれど何から手を付ければいいかわからない

そんな人に向けて、解決策を提供しています。

具体的には、顧客がリピーターになる理由とリピートしない理由を解説するとともに、顧客と深い関係性を築いている企業がどのような取り組みをしているのか、その方法と最初に取り組むべきことを紹介します。

この記事を最後まで読めば、リピーターを増やし、ビジネスを安定・成長させるためにやるべきことがわかります。

リピーターになる理由とリピートしない理由

リピーターを増やすために、まずは顧客がリピーターになる理由とリピートしない理由を整理します。

顧客がリピートしない(流出する)理由

アメリカのハーバード・ビジネス・レビュー誌が行った調査によると、顧客が離れていく原因は次の5つだそうです。

1位:事業者に相手にされないから(68%)
2位:商品やサービスに不満を感じた(14%)
3位:自分で商品・サービスを比べて他を選んだ(9%)
4位:友人から別商品をすすめられた(5%)
5位:引越、死亡など(4%)

販売者に顧客がリピートしない理由を聞くと『商品やサービスに問題があり、満足してもらえなかったから』と多くの人が考えます。

しかし、調査結果では商品・サービスが原因となっているのは14%だけです。

これはアメリカの調査結果ですが、日本でも、飲食店がリピートされない原因の一番は『忘れられるため』だと言われているので同じでしょう。

つまり『相手にされていない』とは会社が無関心ということであり、連絡がない、フォローがないということです。

しかし売り手は顧客を『相手にしていない』なんてこれっぽっちも思っていません。

当然ですよね。

しかし、人は誰でも、寝ている間以外は数えきれないほどの情報にさらされています。しかも
文字だけではなく音声や画像を使って、たくさんの人の興味を引こうとする刺激的な広告があふれ返っています。

このような状況ではせっかく獲得したお客様であっても、1ヶ月何もフォローをしなければ、他のことに関心が移り、ほとんどの人には忘れられているかもしれない、ということです。

『あんなに喜んでくれたのだから次はいつ来てくれるかな』

と期待しながら待っていても、ほとんどの場合「次はない」理由はそのためです。

「うちはちゃんとやっている」「特にクレームになったこともないから大丈夫」このように思ってやり過ごしていてはリピーターを増やすことはできません。

商品・サービスに満足していても、リピートする理由やきっかけがないまま時間が経過し、そのうちに忘れてしまう。コミュニケーション不足・フォロー不足がリピーターが増えない最大の原因です。


顧客がリピーターになる理由

次に、顧客が継続してリピート購入してくれる理由をみていきます。現状のリピート購入されている理由を当てはめてみると、次に何をするべきかが見えてくるはずです。

顧客を維持・継続できるのは、顧客が受け取る『顧客価値』に満足しているからである。

 ~中略~

顧客価値とは「時間を考慮したすべての取引がもたらしたプラス効果とマイナス効果の総和」と定義できる。

ハーバードビジネスレビューに掲載された論文「離反顧客」分析からの学習 フレデリックF.ライクヘルドより引用

この内容をもう少しわかりやすく言うとこうなります。

  • プラスの効果がマイナスの効果よりも多ければ満足しリピートする可能性が高くなる。
  • プラスの効果とマイナスの効果が同じであれば、何かのきっかけで離れていく、あるいはリピートする。
  • プラスの効果がマイナスの効果よりも少なければ離れていく。
顧客価値はプラス効果とマイナス効果の総和
顧客価値はプラス効果とマイナス効果の総和

マイナスの効果とは、顧客を怒らせたり、不満を感じさせることなので理解しやすいですが、プラスの効果は人それぞれ価値を感じるものは様々です。

ただ共通して言えることは、プラスの効果(顧客価値)にはレベルがある、ということです。

顧客価値のレベル
顧客価値のレベル

最低限のレベルから仲間・所属のレベルまで5段階のレベルがあり、どのレベルで顧客価値を提供するかでファンになるか、何かのきっかけで簡単に他に離れていくかが変わります。

顧客価値のレベル別、リピート購入する理由

①最低限のレベル~②期待したレベル
  • 不満はあるが他よりも少ない
  • 不満がない、あるいは満足できる商品・サービス、接客が受けられる
  • 地理的な理由・利便性・・・近いから、通勤・通学途中にあるからなど
  • 属人的な理由・・・・・・・友人や知り合いが働いているから
  • 商品・システム型・・・・・3回コースなど複数回利用することが前提のサービス

歩いて行ける距離にはそこしかない、この時間に営業しているのはそこしかない、この日数で納品してくれるのはそこしかないなど、仮に不満があったとしてもライバルがいなければリピート購入は発生します。

またこのレベルでは、販売者側がリピートに対する意図や働きかけがない(または意識が低い)ケースが多く見られます。リピート購入する理由が弱いので、お客様は何かのきっかけで簡単に他の商品やサービスに流れてしまいます

③理想のレベル
  • こうだったらいいな、まさか無理だよね、そんな理想のサービス・接客を受けられる
  • クレーム時の対応がすばらしい
  • 常に価値提供されていてムダに感じる時間がない
  • 他では当たり前にしなくてはいけないことをやらなくてもいい
  • 社会的な問題への取り組みなど、自分ではできないことを実現しようとしている人・会社を手伝いたい

このレベルの特徴はお客様が思う理想の姿を現実のサービスとして提供していることです。商品そのものよりも、接客やサービスから顧客価値を生み出す場合が多く、「理解してもらえた」「よくわかってるなあ」「よく気付いたなあ」といったお客様の感情の理解と対応がポイントになります。クレームを伝えたらその時の対応が素晴らしく、優良顧客に変わるケースや他では30分かかることが10分で済む、何回もしなくてはいけないことが1回で済む、そんな経験をすると他では満足できずに高い確率でファンになり、リピート購入してもらえます。

また、売上の一部を寄付するなどの社会的な活動、自分には実現できないことを代わりにやってくれる、その活動を応援して自分の望みを叶えたいといったケースもあります

想いに賛同する事例 マザーハウス

社会起業家に多いケースですが、社会の課題を、事業によって解決しようとする想いや理念、代表者の生き様に共感してファンになるケースです。

バングラディッシュ産の生地、ジュートやレザーなど、途上国の素材をつかってカバンなどをつくっている株式会社マザーハウスという会社があります。

『裸でも生きる』という本や『情熱大陸』というテレビ番組で紹介されるなど、有名な会社ですが、そのストーリーは壮絶です。

いじめられたつらい生い立ちから、苦難に満ちたバングラディッシュでのマザーハウスの立ち上げ、そんな代表である山口絵理子さんの悩みと葛藤、そして生きることへの想いに触れた人の多くがマザーハウスのファンになっています。

解決しようとする課題の規模の大小にかかわらず、

世の中をもっとよくしたい!
困っている人を助けたい!
目の前の人を笑顔にしたい!
自分らしく生きたい!

そんな経営者の想いの強さが人をひきつけています。

④予想外のレベル

ディズニーやリッツカールトンの事例として紹介されるような、思いもよらない感動の接客・サービスを受けるケースです。

接客やサービスを受けた顧客の全員が体験するわけではありませんが、心温まる話題や感動した話は口コミとして広がり、リピートはもちろん、その話を聞いた新規のお客様をたくさん引き寄せることになります。

事例 東京ディズニーランド
ある若い夫婦が東京ディズニーランド内のレストランでお子様ランチを注文しました。しかし、その夫婦は二人だけで子供を連れてはいません。

「恐れ入りますが、お子様ランチはお子様専用になっております。それに大人の方には少し物足りないかと思われますが・・・・・」

夫婦は黙って下を向いたままです。
キャスト(アルバイト)の青年は、一歩踏み込んで尋ねました。

「失礼ですが、お子様ランチはどなたが食べられるのですか?」

「死んだ子供のために注文したくて・・・」

「私たち夫婦はなかなか子供に恵まれませんでした。やっと待望の娘が産まれましたが、体が弱く一歳の誕生日を迎えることはできませんでした。子供の一周忌に、いつかは子供を連れて来ようと話していたディズニーランドに来たのです。そしたらゲートのところで渡されたマップに、ここにお子様ランチがあると書いてあったので思い出に・・・・」

それを聞いた青年は一度その場を離れ、もう一度夫婦の元に戻り言いました。

「ご家族の皆さま、どうぞこちらに」

四人席の家族テーブルに夫婦を案内し「お子様はこちらに」と子供用のイスを一つ用意してくれました。しばらくして運ばれてきたのは三人分のお子様ランチでした。

青年は「ご家族でごゆっくりお楽しみください」と挨拶して、その場を立ち去りました。

ディズニーランドだけでなく、リッツカールトンにも感動的なストーリーがいくつもあります。実際に体験した人、そしてその体験談を聞いた人がファンになっていく。そんな好循環が生まれています。

顧客の期待値を圧倒的に超えるのはカンタンではありませんが、できないことでもありません。なぜなら特殊な技術や豊富な資金が必要なのではなく、顧客を気にかけ、思いやる姿勢が人の心を動かすからです。

⑤仲間・所属のレベル

お店や会社との関係、あるいは顧客同士のつながりが、単なる売り手・買い手の域を超えて、友人・仲間、グループや組織の一員と感じてもらっている状態です。

会社の理念や姿勢に共感する、ブランドに愛着を持っている、自分の居場所、なくてはならない存在となっているので、顧客ロイヤルティが非常に高く、企業が存続の危機におちいったら無償で応援し助けてくれるほどの深い関係性も見られます。

顧客ロイヤルティとは、企業や商品への信頼や愛着があり、関係性を強化したいと望むこと。
事例 ホールフーズマーケット

1981年、アメリカのテキサス州オースティンは70年ぶりの大洪水に見舞われ、13名の死亡者がでるほど町全体が大きな被害を受けました。

ホールフーズの店舗も例外ではなく、店舗は2メートル以上の床上浸水となり、店内の設備や商品は全てダメになりました。

ホールフーズの1号店としてオープンしたのが8カ月前。売り上げは順調だったものの、余裕の資金はなく、保険もない、倉庫に販売できる在庫もない。そんな自力で営業再開することは資金面からみて絶対に不可能という壊滅的な状況でした。

洪水の翌日、創業者と社員が破壊された店舗を見て、涙を流し、肩を落としたまま手の届くところから復旧を始めていると・・・

何十人ものお客様や近所の人々が店に集まってくれたのだ。祝日で仕事が休みの人も多く、作業服を着て、バケツやモップなど役に立ちそうな物を持って店に駆けつけてくれた。そうして口々に、「さあさあ、仕事に取りかかろう。まずはきれいに片付けて再建しようじゃないか。この店をつぶしてたまるかい。落ち込むのはこの辺にして掃除を始めよう!」と言ってくれたのだ。

~中略~

その後の数週間、お客様が何十人とやってきては店の掃除と修繕を手伝ってくれた。

「どうしてこれだけのことをしてくれるのですか?」と尋ねると、

「ホールフーズは私にとって本当に重要なんです。ホールフーズがここになかったら、あるいはもしここにいなくなったら、オースティンに住みたいとは思わないかもしれません。それほどこの店は私の生活にとって大きな存在なのです。」という答えが返ってきた。

「世界でいちばん大切にしたい会社」 ジョン・マッキー/ラジェンドラ・シソーディアより引用

ホールフーズの再建に手を差し伸べたのは顧客だけではありませんでした。

洪水で無一文になったために、多くの社員は無給で働き、何十社ものサプライヤーがツケで店舗に商品を置いてくれ、投資家からは追加の投資を、銀行からは追加の融資を受けることができ、洪水から28日後には店を再開させることができたそうです。

①~⑤全てのレベル

  • 次回購入する必要性や理由がある

販売者側が積極的に働きかけることによって、顧客がリピートする必要性や理由を見いだしてい状態わゆるマーケティングで成功しているケースです。

商品やサービスが特に優れているわけでもない、その他も取り立てて特別な何かがあるわけでもない、なのになぜか繁盛している。そんな場合はマーケティングが成功しているはずです。

顧客に商品を売りつけたり、だましているわけではなく、伝えるべきことを正しく伝えているからリピートしてもらえている、そんな状態です。

あなたの会社(お店)はどのような理由でリピートされているでしょうか?その答えが何であれ、常にリピートされる理由を知っておかなくてはいけません。

リピーターを増やすには感動の接客が必要か?

ディズニーやリッツカールトンに代表される『感動の接客』がファンを増やし、顧客ロイヤルティを高める。

いたるところでそんな話を聞きますが、リピーターを増やすために『感動の接客』がなければだめなのでしょうか?

日本最大級の顧客満足度調査である「JCSI(日本版顧客満足度指数)」の2018年度版を見ると以下のようになっています。

2018年度顧客満足 年間総合順位上位10社
画像出展:公益財団法人日本生産性本部 サービス産業生産性協議会

『顧客満足度』と『顧客ロイヤルティ』の違いといった問題はあるにしても、トップ10にランキングされているのは全て多くのリピーターがいる人気のある企業・ブランドばかりです。

どこも接客やサービスの質が高いことは間違いないですが、その全てが『感動の接客』を提供しているわけではなさそうです。

ということは、多くのファンがいる、多くのお客様に支持されている会社の全てが『予想外のレベル』で価値を提供しているわけではなく、『理想のレベル』で顧客価値を提供していると考えられます。

それは、「もう少しこうなったらいいのに」とか「面倒だな」とお客様が感じることを、一つ一つ取り除いて到達できるサービスレベルであり、他の会社が『そういうもの』『それが普通』として気にかけない小さな問題の解決を積み重ねて到達できる領域でもあります

このような取り組みは企業理念を実現するために、あるいは多くのファンを獲得するためには必ず必要なプロセスですが、業界における超一流の存在になる取り組みでもあります。

いきなりそんな難題にチャレンジしなくても、リピート購入だけを考えると、忘れられないように顧客との関係を維持し、購入する理由やきっかけを提供し続けていけば、リピート購入につなげることは可能です。

つまり、商品やサービス内容を磨き上げることがリピーターを増やすためにすべき唯一のことではないということです。

リピーターは獲得するもの

良い商品やサービスを提供していればお客様が自然と増えて、リピートもしてくれる。そんな時代は何年も前に過ぎ去りました。

今は自分が成し遂げたいことや、ビジネスに対する想いなど、積極的に外に向けてメッセージを発信していかなければ伝わらない時代です。

それは新規で顧客を獲得する努力と同様に、既存の顧客に対してもコンタクトを取り続け、伝えたいメッセージ、自社の考え、目指す姿、そして今あるがままの姿を伝え、それらを理解してもらえてはじめてファンになってもらえる、ということです。

これは業種や業態にかかわらず言えることで、ファン化している顧客は必ずその会社や社長のことをよく知り、理解しています。

それは伝える努力をするから理解してもらえるのであって、勝手にファンになってもらえるわけではありません

リピート率とは?まずはリピート率とリピーター率を計算してみよう

リピーターを増やすには、まず現状の把握をしなくてはいけません。

まずは、実際に現状のリピート率がどのくらいなのか計算してみましょう。

リピート率とリピーター率は言葉が似ていますが違います。まずはリピート率を常に把握しておくようにしましょう。リピート率を実際に管理してみると、さまざまなサインが数値の変化として現れるので効果的な対策が素早く打てるようになります。

リピート率・・・新規顧客の内、何%の人がこの期間にリピートしたかを知る指標

当月のリピート率(%)=当月のリピート顧客数(人)÷ 累計新規顧客数(人)×100

リピーター率・・・一定期間にリピート購入した顧客の割合を知る指標

当月のリピーター率(%)=当月のリピート顧客数(人)÷ 当月の総顧客数(人)×100

リピート率を上げる施策

リピート客作りで一番効果的な施策の調査結果

ここで飲食店.comがリピート客作りで一番効果的な施策を調査した結果をご紹介します。飲食店に限定した調査ですが、他の業種でも参考になるはずです。

飲食店.COMの調査によると、リピート客作りで一番効果的な施策は『声掛け』だったそうです。

1位 声掛け(41.7%)
2位 ポイントカード(15.7%)
3位 次回使える割引券(12%)

飲食店.com より引用

ちなみに、リピート客作りのために行ったことがある施策の上位はこちらです。

1位 声掛け(64.8%)
2位 Facebookページ(51.9%)
3位 名刺交換(41.7%)
4位 次回の割引券(31.5%)
5位 ポイントカード(29.6%)

飲食店.com より引用

声掛けというのは、『顧客との距離を縮めること』『親しみをもってもらうこと』であり、ポイントカードと割引券はお得感による『リピートする理由・きっかけ』にあたります。

つまり、『顧客との距離を縮める』と『リピートする理由・きっかけ』この2つのポイントがリピート客を増やすためには欠かせない要素だと言えます。

顧客との関係性を維持し続ける

何もせず顧客の記憶だけに頼っていると、すぐに忘れられてしまうわけですから、リピーターを増やそうと思えば、積極的にコンタクトをとり、顧客との距離を縮め、リピートする理由・きっかけを提供し続けなくてはいけません

そのための準備として、住所やメールアドレス、LINEのIDなど連絡がとれる顧客情報を教えてもらい、顧客名簿をつくります。すでに顧客名簿がある場合はそれを使いますが、顧客名簿がない場合は、メールアドレスやLINEの連絡先など取得しやすいものを集めることから始めてください。

顧客名簿が整備されてくると、定期的に顧客に対して連絡をとるわけですが、この時セールスばかりしているのをよく見かけます。

これは完全な間違いです。一番の目的は関係性を維持し、より深い関係を築くことにあります。

あなたも割引やセールの案内はほとんど無視しているのではないでしょうか。メールだったら開封もしないでしょう。セールスだとわかっていたら、わざわざ開けて読もうとは誰も思わないのです。

これは友人をつくろうとする場合と同じです。親しくなりたい人がいたら、あなたはきっと相手が興味を持っていることを話題にしたり、相手が喜んでくれること、相手が笑ってくれることなど、目の前の相手のことを考えて会話をするはずです。自分のことばかり話していては仲良くなることはできないですよね。

美容室で例えると、初めて利用してもらった顧客に対して、まずは髪の手入れの仕方、セットの仕方など役立つ情報を提供する。その後個人的な日常の出来事やニュースで知った面白いできごとをシェアしたり、季節に応じた髪のケア方法を伝えたりします。

このようなことはなかなか継続できないと悩む人も多いですが、知人や友人に面白い情報や役立つ情報を伝えるのと同じ感覚で情報発信すると続けられると思います。

こういった関係性を維持する活動の中に誕生日の割引、特別な提案など、たまにセールスを入れるというのが効果的な方法です。

関係性を維持する事例

沖縄教育出版

通信販売の会社で沖縄教育出版という会社があります。

この会社は健康食品や化粧品を売っているのですが、顧客のフォローが他と違います。

まず手書きのDMや手紙を顧客に送ります。

そして1~2カ月に1回電話するのですが、その時売り込みはしません。世間話などたわいもない話をして相手が電話を切るまで話し続けます。そのため1回の電話が2時間や3時間になることもあるそうです。

効率を求めると絶対にできない顧客フォローの仕方ですが、この電話フォローおかげか顧客からの感謝の手紙が毎月150通以上届くというから驚きです。

ダイシン百貨店

今はなくなってしまいましたが、東京の下町にダイシンという百貨店がありました。

東京オリンピックが開催された1964年(昭和39年)に開業した地域密着型の老舗の百貨店で、2014年に経営権を手放すまで50年にわたり、地元の人々に愛され続けていました。

ダイシン百貨店が歩んだ50年は、日本の高度成長、バブル崩壊、デフレ不況、インターネトの普及と時代の大きな変化がいくつもあり、消費者の購買行動も大きく変化した時代でもありました。

それでも地元の人々はダイシン百貨店を支持し、経営が末期的な状態の時であっても休業日である元旦を除く364日、毎日来店する顧客が160人もいたそうです。

当然来店するのは地元の高齢者ばかりですが、毎日欠かすことなく百貨店に行くということは、そこが『自分の居場所』でなければありえないことです。

そんなダイシン百貨店では、たった一人のお客様が欲しいと言った商品はすべて取り扱い、棚から外れることはありませんでした。このことを長年守り続けてきたおかげで、お味噌だけで180種類、豆腐は50種類、トイレットペーパーが50種類、ペットフードが3000種類など、店舗全体で18万アイテムの品揃えだったそうです。

これは東急ハンズの旗艦店や超巨大ホームセンターのアイテム数に匹敵するほどの数です。

お年寄りにとっては昔から使っているけれど他のお店では絶対に手に入らない品がダイシンに行けば置いてある、この安心感がダイシン百貨店に行く理由になります。

いっけん非効率にしか見えない品揃えですが、これがダイシン百貨店にとって顧客との関係性を維持する方法の一つだったのです。

顧客をセグメントして管理する

顧客名簿で顧客情報の管理をするわけですが、まずは次の4つに分類します。

  • 新規客・・・・・初回の購入をした顧客
  • リピート客・・・2回以上購入した顧客
  • 優良顧客・・・・売上や利益、個数など、上位に位置する顧客
  • バーゲン客・・・購入回数に限らず、低利益の商品しか購入しない顧客
  • 休眠客・・・・・一定期間以上購入していない顧客

ここで問題になるのが、顧客を振り分ける基準ですが、取り扱っている商品や単価、購入頻度によって異なります。

正解はないので、まずは現状の顧客を分析したうえで、それぞれどのような条件にすればよいか、どのような条件が理想かを考えて決めてください。

優良顧客のさらに上位のVIPを設けるなど、ビジネスの成長に合わせて基準を変更していくと更に効果的です。

セグメントごとに対策をする

顧客がリピート購入するパターンは次の3つです。

  • 新規客が2回目の購入をする
  • リピート客が次の購入をする
  • 休眠客が復活して購入する

※バーゲン客は利益が低い商品しか購入しないのでフォローする対象から外します。

新規客、リピート客、休眠客はそれぞれ伝えるべきことが異なります。

新規客の場合

まず新規客には初回の購入後に起こる『バイヤーズリモース』に対応するべきです。

『バイヤーズリモース』とは、購入後の後悔のことで、「本当にこれでよかったのか?」「正しい決断だったのだろうか?」という不安な感情のこと。

商品やサービスを購入する時は一種の興奮状態にあるのですが、その興奮が冷めた時、誰もが不安な気持ちになります。

その不安な気持ちを取り除くために、購入したことは間違いではない理由や購入したことによって手に入る未来、過去のお客様の体験談などを伝えるようにします

また、使い方などまだ慣れていないお客様に向けた情報提供をすることによって、満足度を高める効果も期待できます

リピート客の場合

次はリピート客に次の購入をしてもらう場合です。

この場合、顧客は販売者に対してある程度の信用・信頼をしています。

そのため、もっと深い関係性を築くために、社長の想いや会社の理念、あるいは販売員の個人的な面、商品やサービスへのこだわりなどの情報を発信していきます

リピーターにより多くのことを知ってもらい、ファンになってもらえるように心がけます。

休眠客の場合

最後に休眠客の場合です。

一定期間何も購入していないということは、不満があって離れていったか、他に良いところを見つけた、引っ越しなど生活環境の変化、興味を失った、単純に忘れている、といった理由が考えられます。

いずれも簡単にはリピートしてもらえそうにありませんが、新規客の獲得と同じようにキャンペーンを実施して再度振り向いてもらうことはできます。

あまり深追いしても効果が期待できないですが、単純に忘れている顧客もいるので一定の間隔でコンタクトを取るといいでしょう。

新規客、リピート客、休眠客のいずれであっても、顧客の流出を防ぐために関係性を維持する努力を続けるのが基本です。


割引以外のリピートする理由・きっかけづくりに悩んだら

リピートする理由やきっかけとして、割引やセールの案内は有効です。しかし、それ以外にもリピートする理由・きっかけをつくることができます。ここでは2つの視点をご紹介します。

リピート回数を増やすための視点

次にリピート回数を0回から1回、2回と増やす、あるいは5回を10回、20回に増やすには何をすべきかをみていきます。

まずはリピート購入すべき明確な理由を顧客に伝えているかどうか確認しましょう。

  • お得な割引がある
  • この痛みを根本から取るには5回にわけて治療する必要がある
  • 次回からは面倒な手続きなしですぐに開始できる

など

リピートすべき理由は販売している商品・サービスによって違います。

何を伝えるべきかを考える時、初回購入の顧客と、それ以外の顧客を分けて考えるとわかりやすくなります。またリピート回数に応じで顧客をランク分けし、ランクにより割引率を変えるなど提案する内容を工夫する方法もあります。

VIP会員、ゴールド・プラチナ会員、上得意様などの設定は優越感、満足感を感じてもらうのに役立ちます。また会員割引、お得意様特別割引、VIP会員様のみプレゼントといったお得感を演出するのも効果的です。

リピート顧客に伝える内容は年間を通して事前に計画し、スケジュール化すると、どのような提案をいつ行えば効果があるか把握でき、管理もしやすいのでおススメです。

もしリピート購入すべき理由が思いつかないようであれば、顧客の欲求を満たす方法でその理由をつくらなくてはいけません。

リピート頻度を高くするための視点

リピートの頻度を高くするとは、一定期間にリピート購入される回数を増やすということです。

これは美容室の予約を取る場合などに有効な考え方ですが、通常1.5か月毎に予約が入る顧客に対して1か月や1.2カ月で予約してもらうということです。当然ですが、顧客にとって1か月の方が良いという十分な理由がなければいけないません

ちなみに美容院などでは予約の電話をした時に、希望する日時が埋まっていたら希望日よりも後の日付でスケジュールを調整することが多いようです。このような場合はできるだけ希望日よりも早い日にちで調整すればいいわけです。

これらによって年間で利用する回数を増やすことができます。

その他の例としては、商品Aを購入した顧客は2か月後にもう一度商品Aを購入する場合、その間に関連する商品Bを提案するという方法です。

いずれの方法も顧客にとってそれが役に立つ、価値のあること、の提案でなくては単なるセールスになってしまいます。

ここは少し難易度が高くなりますが、専門家としての立場でアドバイスするとセールス臭さは消えていきます。医者が診断をしてこの薬がいいですよ、というのは誰もセールスとは感じないはずです。また、学習塾の教師が生徒に教材をすすめてもセールス臭さはあまり感じないでしょう。

接客の時やメール、ニュースレターなど、顧客にアプローチする時に必要性を伝え、気づきを与えることができれば専門家として見られるようになります。

リピート客の客単価アップについてはこちら。

リピート客が増えるメリット

この記事を読んでいるあなたはきっと、ビジネスを安定させ成長させたいと思っているはずです。

世の中に20:80の法則(パレートの法則)があるように、全体の売上や利益の大部分を一部の顧客が生み出しているという現実があります。

調べてみるとわかりますが、その一部の顧客がリピート客であり、常連客です。そして、リピート客が増えるとビジネスにとって、とても良いことがあります。

ちなみに新規客の集客についてはこちらの記事を参考にしてください。
新規顧客を獲得する!|コンサルタントが教える新規客を増やす方法

メリット1 利益が残る

一つ目のメリットは、同じ商品を販売しても、新規客よりも既存客に販売した方が手元に残る利益は多くなるということです。

既存の顧客にリピート購入してもらうコストは 新規の顧客を獲得するコストと比べて 5分の1~7分の1で済むのですから積極的にやらない理由がありません。

リピート客が増えるメリットは他にもあります。

メリット2 紹介が増える

まずリピートして購入してくれるということは、商品やサービスに満足しているわけですから、自然と紹介が増えていきます。

メリット3 売上の予測がしやすくなる

そして、何度もリピートしてくれる常連客がいることによって、売上の見込みが立ちやすくなります。数カ月先の売上をある程度予測できる安心感は魅力的ですよね。

メリット4 離職率が下がる

最後に、社員や従業員とお客様との間でコミュニケーションの機会が増え、仲良くなることで接客面、営業面でのストレスが減り、離職率が下がります。

このように、リピート客・常連客を増やすことができれば、間違いなくビジネスを安定させ、成長させることができます。リピーターを増やすには、業界内で超一流の商品や技術を持っていないといけないわけではありません。ぜひ顧客とコミュニケーションを続けてリピーターを増やしてください。

まとめ

  • リピート客はビジネスを安定させ、成長させるためには不可欠な存在。
  • 顧客離れの最大の理由は、販売者の無関心(フォロー不足)により買い手が売り手を忘れること
  • リピートを安定させるのはマーケティングによる販売者の積極的な働きかけ
  • 常に思い出してもらえるように、顧客との関係性を維持し続ける努力が必要。そのうえでセグメントごとにアプローチすれば効果的。
  • 最初に取り組むべきことは、商品やサービスの改善ではなく、割引でもなく、顧客とコミュニケーションをとって親しくなること。