Concrete People: Ak Murat
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MURATと彼が率いる SCREPO は、20016年にIdeal Workのパートナーとなりました。彼らはトルコとアメリカ市場の代理店でもあり、皆さんもよくご存知のロケーションにて、Microtoppingを他素材と組み合わせて使用するプロジェクトがいくつか進行しています。
カザンパレスホテル, ロシア, 18:46
Muratと彼のアシスタント、そして建築家の3人は、工事開始という大事な日を前に、建築現場の最後の点検をしていた。彼らは、倉庫として使われている広いスペースを歩いている。パレットの上には、Microtopping、Lixio、Purometalloのバケツが何十個も置かれていた。ぱっと見る限り、欠けていることは何もないようにも見える。
「…これが基礎で、これが、仕上げ。これはポリマーで、ここはパック・シー・ブラック…」
Muratは建築家の言うことを訂正した。
「スモークだ」
「違います。黒です。」もうひとりが言った。
「スモークと言っていなかったか?」
「はい。しかし、経営陣の意向もあり、気が変わったのです。大きな変更ではありませんから、変えようと思っています。」
「しかし、明日には開始なのだぞ。」
「では、急いで変えましょう。」建築家は笑い、他に見逃しているものがないか点検を続けた。
Muratは彼のアシスタントを見ながら尋ねた。「いざというときのためのDHLのユニフォーム、どこにあるか知ってるか。」
IDEAL WORK, イタリア, 次の日, 11:00
「あなたたち、おかしいわよ。」
「わかってるよ、ルカ。改めて教えてくれてありがとう。」
Muratは、倉庫にいるみんなの前で空のバッグを2つあけたところだった。
「会社にあるありったけの、パック・シー・ブラックのボトルを、この袋に詰めてくれ。既に空いているものでもいい。トレーニングコースや内部テストでつかったものがあるかもしれない。それも、この中に入れてくれ。一つ残らず。」
遠くから、Maurizio の声が聞こえてきた。「やあ、旅はどうだった?」
「笑えるよ。カザンからイスタンブール、イスタンブールからヴェニス、ヴェニスからヴァッラ。33分42秒。タクシーのドライバーはパーソナルレコードだって言ってた。さて、何か飲み物と食べられるものはある?3時には飛行機に乗らないと。」
「さあ、行きましょう。」ルカは彼の方を叩いて急かした。「確かにあなたは凄い、ユニークだわ。」
カザン空港, ロシア, 同日, 23:13
「お客様、この2つのスーツケースを開けていただけますか。」
「もちろん。」
「お客様、これらのボトルが何のためのものか説明していただけますでしょうか。」
「私は芸術家で、これらは私が制作に使う色材です。」
「違法に輸入されているものではないのですか。」
「聞いてくれ。すごく急いでいるんだ。私は、この高品質の色材を買うためだけにイタリアに行ってきたところだ。これはロシアのとても重要な方のための芸術作品をつくるために使う。明日にははじめなければならなんだ。
Muratは警備員に理解を求めた。彼の言葉はしっかりしていた。警備員は姿勢を正し、彼を通した。
Muratはタクシーを待つ間、2つのスーツケースを眺めていた。間に合うはずものないと思っていた。彼はIdeal Workとの仕事によって不可能にも思える仕事に慣れてきたのかもしれない。
「ルカの言う通りだ。おれはおかしいかもしれない。しかし、彼らも同じようなものだ。」