リスクを背負うのは誰か

星野リゾートと言えば、日本各地で人気の
旅館やホテルを運営する会社です。

経営不振のホテルや旅館の運営を引き受け
業績を向上させることでも有名です。

もともとは、軽井沢の老舗温泉旅館だったのを
4代めの星野社長が一代で会社を大きくして
いるのですが、その経営手法は

「教科書通りの経営」だそうです。

経営やマーケティングに関する古典とも
言われるような有名な本に書かれていることを
一つ一つ徹底的に実践する。

それが星野リゾートが急成長した秘密の
ようです。

そんな星野リゾートも実践した戦略に
返金保証があります。

スキー人気の陰りと共に、サービスの品質が
低下していた福島県のスキーリゾートアルツ磐梯(ばんだい)
では、まずくて当たり前だったスキー場の
レストランで、「おいしさ保障」を導入しました。

一番人気だったカレーに、どれだけ食べた後でも
美味しくなかったら100%全額返金するという
ものです。

返金保証の導入にあたって、スタッフの反対は
すさまじく、返金を求める客が続出し、

その対応に追われるのではないか、という不安で
いっぱいだったそうです。

しかし実際に開始してみると・・・

心配した返金はほとんどなく、シーズン中に10万食を
提供するうち、返金は10件程度しかありませんでした。

「お客様は誠実だということがよくわかった」

と星野社長は後に語ります。

おいしさ保障の導入が決まり、スタッフは
何度も試食を繰り返し、味を高めたカレーは
お客様の満足度を高め、スタッフには仕事への
責任感を高める効果があったのです。

このレストランの成功に続けて、
スキー、スノーボードのスクールで
上達保障制度を開始し、予約が取れない
人気のスクールになっているそうです。

製造業では当たり前の保証をサービス業で
導入する。普通はやらない業種でやるから
効果が発揮されるわけですが、

どんな業種であれ、保証制度を悪用する客が
与える損害は、補償制度がもたらす利益に
比べるとずっと小さいことがわかっています。

独自の強みやライバルとの差別化に
頭を悩ませるぐらいなら、

返金保証を導入し、目の前の顧客を
満足させることに集中すべきだといえそうです。