つい買いたくなる限定性・希少性の作り方

いい商品を見つけた時、あなたはすぐに買いますか?

いいなこれ!
こんな商品があるんだ~
覚えておこう!
また今度ゆっくりみよう・・・

そしてほとんどの人はいつの間にか商品のことを忘れてしまいます。

なぜ多くの人はすぐに商品を購入しないのでしょうか?

急いでいるから、お金に余裕がないからなど人によって、その時によって、いろいろな理由があると思います。ただこういった理由は今買わない本当の理由ではありません。本当の理由、それは・・・

『今買う理由がないから』

いつでも買えるのであれば、人は行動せず決断を先延ばしにします。そんないつでも買えるありふれた商品を、今買うかどうか真剣に悩む魅力ある商品に変えるのが『限定性』と『希少性』です。

この記事を読めば、限定による今買うべき理由の作り方と希少性を高める方法がわかります。

『希少性の原理』が限定の成否をわける

限定すればたくさん売れる。

これは本当の話です。
私自身ネットショップをしていた頃、『毎月限定30個』としたらほぼ毎月30個がコンスタントに売れましたが、限定をなくすと半分ぐらいに販売数が落ちた経験があります。

しかし、本日限り、限定〇〇個、季節限定など、限定にすると商品やサービスが簡単に売れるわけでもありません。

どうせ買うなら今しか買えない味を・・・
たまにはいつもとは違う香りを・・・

食品や日用品であればそんな理由で購入してもらえる可能性もありますが、コンビニには既に限定品があふれ返っています。ありとあらゆる商品に限定品があり、今は限定品ばかりの中から選んでもらえる理由付けをしなくてはいけない、そんな時代です

ではどうすればもっと売れるようになるのでしょうか?

その答えは『希少性の原理』にあります。

希少性の原理とは、数が少ないものを価値が高いと考えてしまう人間心理の法則のことです。

それを証明しているのが社会心理学者のステファン・ウォーチェルのクッキーの実験である。この実験は、参加者に瓶の中からクッキーを与え、それを味見して質を評価してもらうものである。そのとき、参加者の半数には、10 枚のクッキーが入った瓶から1 枚を取り出して与え、残りの半数には2 枚しか入っていない瓶から1枚を取り出して与えた。すると、希少性の原理から予想できるように、クッキーは 2 枚しか残っていないうちの 1 枚だった場合の方が好意的な評価をしている。残りが少ないところから渡したクッキーは、たくさんあるなかから渡した全く同じクッキーよりも「また食べたいと思う」、「商品として魅力的」「高級感がある」と評価されたのである。

『影響力の武器』/ロバート・B・チャルディーニより引用

オークションでは希少性が高いものが信じられないような価格で落札されることがありますが、それはまさに、希少性が高いからですよね。

当然ですが、価格を吊り上げるということではなく、希少性が高ければ、それだけ安売りせずに適正な価格で販売することができるということです。

限定・希少の意味とは

三省堂 新明解国語辞典によると限定と希少の意味は次のようになります。

限定・・・物事の利用や数量などをある範囲を超さないように決めること。
希少・・・非常に数の少ない様子

つまり、人が欲しいと思う理由として強力なのは、限定性よりも希少性だということです。

販売数量を限定する場合、もともと数が少ない為に販売する量を限定するケースと、仕入ができた数などの理由で数量を限定するケースがあります。

限定と希少、どちらも同じような意味としてとらえることはできますが、限定したからといって必ずしも希少だとは限りません

希少という言葉の意味からもわかるように、欲しいと思ってもなかなか手に入らない状態、需要と供給のバランスが明らかに崩れている状態でなければ、<非常に少ない>とは言えないわけです。

単に限定しただけでは魅力が半減するどころか、見向きもされずに、たくさん売れ残ってしまいます。また、割引ばかりをしていると、安くなった時しか売れなくなってしまいます。

購買意欲を高める限定性・希少性とはどのようなものか

いつでも手に入る、そんな状態であれば「今買わなくてもいい」と思われてしまいますし、本当に必要になった時には他のところで購入されているかもしれません。

とはいえ、扱っている商品が他では売っていない特別なモノではない場合、どうすれば「今買おう」と思ってもらえるのでしょうか?

多くの人が『希少性が高いモノは価値が高いと感じる』のであれば、限定を上手く使えば商品やサービスの価値を高めることができるはずです。

商品やサービスを限定する8つの切り口

1.人数(20名様限定)
2.数量(20個限定)
3.時間(16時~17時まで)
4.期間(1月10日~1月15日まで、夏季限定)
5.曜日(火曜日限定)
6.客層(初回限定、女性限定、60歳以上限定、会員限定)
7.条件(○○を購入した方限定、1万円以上購入した方限定、予約限定、現金の方限定)
8.地域(関東地区限定)

以上の8つが限定をつくる時の切り口です。

たくさんあるけれど、どれも見慣れたものばかり・・・そんな風に感じませんか?

こういった限定は、いつでも買える状態よりはいいですが、購入する理由としては弱いのも事実なので「なかなか購入してもらえない」「申し込んでくれない」そんな状況におちいってしまいます。

限定も見慣れてありふれたモノでは十分な効果は期待できないわけです。

購買意欲を高める限定性のもう一つの要素

もっとお客様の購買意欲を刺激して、今すぐ買ってもらうためには『限定性』だけはなく、『緊急性』を追加するのが有効です。

緊急性は、時間の制限があるということで、本日限定や3日間限定、「今購入すると・・・」といったものまで、制限した時間内での特別な取引条件を提示する方法です。

この方法は強力ですが、その分強い売り込みを受けたと感じる人もいるのでやり方には注意が必要です。

また、今日だけ20%割引!というようなやり方をしてしまうと、翌日には20%割引で販売できなくなり、結果として販売期間が短くなってしまいます。

このような問題を解決する方法は2つあり、一つは希少性を出すこと、もう一つは特典を限定にする方法です。

商品そのものに希少性があれば、今のタイミングを逃すと次は手に入らないかもしれない、あるいはずっと先まで待たなければいけないかもしれない、という緊急性が生まれます

特典を限定にするというのは、この3つの特典は今日購入した場合のみ、明日はこのうち一つが無くなり特典は2つになる、あるいは特典が変わるというやり方です

これは購入の決定を先延ばしすると特典が減ってしまい損した気分になる、こういった目の前の損を避けようとする人の心理(プロスペクト理論)を使った方法です。

プロスペクト理論
人間は目の前に利益があると、確実に利益が手に入いれることを優先し、損失を目の前にすると、損失そのものを回避することを優先するという理論です。

この特典を限定する方法の良いところは、商品自体は何も変わらないということです。

あくまでも特典としてついてくるものが変わるだけなので、極論すると特典のパターンを多数用意しておけば『本日限り!』を毎日できることになります。

たとえありふれた限定性であっても、時間を限定した緊急性を組み合わせることによって購買意欲を高めることができます

例えばテレビショッピングはこの『限定性』と『緊急性』を組み合わせた事例ばかりです。
今から30分以内のご注文の場合に限り、更に〇〇がついてくる!なんて当たり前のようにやっていますが、それは効果があるから続けているわけです。

画像出展:ショップジャパン

是非どうすれば限定性と緊急性をつくれるか、考えてみてください。

限定はさまざまな業界で取り入れられている

希少性を出すために、『非常に少ない状態』にすることに対して抵抗がある人がたくさんいます。

すぐに完売になるのはもったいない。
もっと売れるのだからもう少し数を増やそう。

そう思う気持ちはよくわかりますが、販売を開始したら即完売する状態を続ける方が、希少性は高まり、更に売れやすくなるという好循環が生まれます

・Appleの事例

Appleが新型iphoneを発売する時には必ず初回の生産量を絞っています。 iphoneのように安定した人気がある製品で、しかも日本におけるiphoneのシェアは世界でもとびぬけています。そのような市場環境にもかかわらず、発売当初は毎回売り切れで手に入らない期間があるわけです。これは売れるかどうかわからないという理由だけではなく、意図的に品薄状態を作り出していると考えるのが自然です。

つまり、希少性がある状態にすることで、購買意欲を刺激するとともに、購入したユーザーには「多くの人が持っていないものを持っている」という優越感を体験してもらっているわけです。この優越感を体験した人は、次の新型iphoneが発売される時も同じように真っ先に手に入れようとするはずです。

・しまむらの事例

格安カジュアル衣料品市場をけん引してきた『株式会社しまむら』も多品種小ロットの商品を扱い、数量を限定しています。

埼玉県の中小企業だった株式会社しまむらが全国の企業へと飛躍するきっかけとなったのが、最新のファッショントレンドを取り入れた多品種小ロット商品への取り組みです。

もともと最新のファッショントレンドを低価格で提供するモデルにはスペインのブランドであるZARAという成功事例がありました。

しかし、しまむらはZARAやユニクロのような、いわゆるファストファッションと呼ばれる企画・製造・販売の全てを自社で行うのではなく、しまむらが各アパレルメーカーに企画を出しメーカーが作ったものを仕入れて販売するスタイルです。

しまむらの人気の理由は、最新のファッショントレンドを取り入れた服が安く手に入るところだというのはたしかですが、それだけではありません。

しまむらでは次から次へと商品が入れ替わり、先週あった商品を買いに来てももうお店にはない、再入荷もないのが当たり前になっています。

そのため、その時みつけた素敵な服はその日に買わなければもう手に入らない、という希少性が生まれています。大量にある商品の中から宝探しのような楽しさをあじわうことができるため、しまむらで見つけた商品をSNSで拡散する『しまパト』(しまむらパトロール)と呼ばれる現象が起きています。

このような最新ファッションが安く、見つける楽しさがあるお店には多くのファンがいて、全身しまむらの服でコーディネートする『しまラー』を多数生み出すほどの人気です。

一方、意図せず驚異的な希少性が生まれた事例もあります。

・バンダイの事例

昔バンダイのたまごっちという爆発的にヒットした商品がありました。

たまごっちを持っていることが一種のステータスとなり、街には数個たまごっちを所有していたり、忙しい人向けの「たまごっち託児所」なる預かり所が登場したりもした。「飼育」していたたまごっちの「死」によってペットロス症候群に似た現象が一部のユーザーで見られるようになるなど、たまごっちブームは社会現象化した。50個のたまごっちの抽選販売に対して、抽選整理券が4000枚配られた所もある。

ブームの全盛期には、白いデザインのたまごっちが非常に稀少だとして特に人気が集中したことがあったが、横井(開発者)は「単なる噂」としている。実際には他にも生産量の少ないたまごっちは存在していた。横井は、稀少価値があるとされた白いデザインの商品が1個9万円で取引されたり、色を塗り替えて稀少品であるように見せかけた商品が1個18万円で取引された話を聞いたという

ウィキペディアより引用

社会現象となるほどのヒットにより生産が追い付かなかったにもかかわらず、「生産調整をしている」というウワサが流れるほど品薄状態が長く続き、増産に増産を重ねた結果、ブームが去った時にバンダイは大量の在庫を抱えてしまい、最終的には45億の赤字になったそうです。

たまごっちの例は極端ですが、ヒットしたにもかかわらず、量をコントロールできていなかったために、品質の低下や管理体制の崩壊によって失敗に終わるのはよくあることです。

希少性を出すためには正当な理由が必要

手作りで作れる量が決まっている。
この原材料が希少でわずかしか手に入らない。
一人でサービスを提供できる人数に限界がある。

限定されている理由を聞いた時、その理由に納得できなければ、最悪の場合ウソを言っていると思われてしまい信頼を失うことになります。

Appleにはiphoneをつくる工場の生産台数という大義名分があります。
しまむらには完売という理由の他に、多品種小ロットによって見つける楽しさを提供しているという理由にも納得させられます。

反対に限定200個と言っておきながら、いつまでたっても販売が終了しなかったり、閉店セールを繰り返しても閉店せずに営業を続けていたら、誰にも信じてもらえなくなります。

商品自体の希少性を高めるためにできる4つのこと

限定と緊急性を駆使しても、商品自体に希少性がある方がいいことは間違いありません。ここでは商品自体の希少性を高めるためにできることを紹介します。

1.特典をつける

他とは差別化できない、ありふれた商品を扱っている場合は特に有効な方法です。商品がモノである場合は情報を特典として付け、商品が情報である場合はモノを特典としてつけます。

例えば、野菜を販売しているならその野菜を使った料理のレシピを特典としてつけます。ダイエットのノウハウを販売しているなら、運動に使える道具を特典とします。

このように、それ単体でも市場で販売されていて購入している人がいるものを特典として追加すると、特典がついていない他の商品と比べて大幅に魅力がアップします。

2.こだわりをきちんと説明する

製造工程のこだわりや仕入れる商品を選ぶ時のこだわりは誰にでもあるはずです。そのようなこだわりを一つ一つ丁寧にお客様に伝えます。

1足500ドル(5万5千円)というハイヒールの価格を正当化するため、その靴が何が違うかを逐一説明した。メーカーが100以上の皮の中からマッチする一対を丹念に選んでいること、標準品の5倍もする染料を使用していること、使っている高級絹糸は一般的な靴の10倍はすること。
だが、高価な靴は全てそのようにつくられる。違う点は、うちの店だけがそうした製作手順を明かし、重視した(そして説明し、消費者を教育した)唯一の店だったことだ。それによってさらに差別化され、望まれる店になった。

『クラッシュマーケティング』/ジェイ・エイブラハムより引用

業界では当たり前のことでも、一般のお客様は知らないことはたくさんあります。プロとして当たり前にしていることを丁寧に伝えることによって、そのことを知らないお客様には他とは違う希少性を感じてもらえます。

3.キャラクターを売りにする

個人や小さな会社ができる究極の差別化は『人』です。どういう想いでビジネスをしているのか、自分自身をさらけ出すことによって、考えに共感してくれる人があらわれます。

ビジネスを語り、語るだけの経験や資格・想いがあることを語り、何を目指しているのかを語ることが大切です。

4.希少性がある場所・方法で販売する

ノウハウを販売している場合であれば、本やDVDといった教材の値段よりもセミナーを開催した方が単価を高くすることができます。

その理由は講師に直接会える、日時や人数が限定されているという限定性と希少性にあります。

商品を販売する場合も、すぐ隣に同じような商品が並んでいる場所ではなく、普通はその商品がならんでいない場所で販売できないかを考えます。

まとめ

  • なかなか購入してもらえない、申し込んでもらえない原因の多くは、お客様にとって今行動する理由がないため。
  • 今すぐに行動してもらうには限定性と緊急性、希少性を組み合わせる。
  • 非常に少ない状態でなければ希少性を出すことはできない。
  • ありふれた商品であっても希少性を高めることはできる。

最初から商品そのものに希少性があることはほとんどないと思います。その中で他の人がやらないことをすることによって希少性が生まれます。

今の商品に限定性・希少性がないなら、ぜひ限定性と希少性を作ってみてください。